油土を使って肖像レリーフを造る工程を、構想から完成までの制作進行に合わせ、紹介します。
レリーフを造ってみたい方へのヒントになればと思い、制作の進行具合をアップするだけでなく、“裏ワザ”を含めた技法や、材料・道具の解説も一緒にメモします。
2010年6月13日
「石膏ベースの作成」(約1日)
粘土でレリーフを造る場合は、合板やプラスティックなど平板の上で造ります。
私の場合は、粘土で造った後、石膏取り(せっこうどり)を数回繰り返し、凸型や凹型で修正や細部の彫刻などを行います。
そのため、石膏取りに適した制作方法ということで石膏を使い、厚さ3cm程度の楕円形の平板を作ります。レリーフの土台=ベースです。
使用するのはダキワと呼んでいる真鍮板(厚さ0.3mm 幅15cm 長さ120cm程度)と、クリップ、油粘土およびガラス板です。
<石膏ベースを作る手順は以下のとおり>
(1)決めたレリーフの大きさが余裕をもって入る大きさの楕円を紙に描く。
(2)作業台の上に楕円を描いた紙を置き、その上に透明なガラス板を重ねる。(写真1)
(3)描いた楕円の線に沿ってダキワを丸くする。(写真2)
クリップやガムテープ及び油粘土で固定していくと便利。
(4)枠が出来た段階で、水漏れするところがないかをチェックし、石膏の流し込みへ。
内側から水圧がかかるので決壊しないよう注意が必要。(写真3)
(5)ここで使用した石膏は5kg+水4ℓ (重量比=水1000g:石膏1250g)
(6)硬化しないうちに(作業時間は約5分)流し込みを終了し、70分ほど放置。(写真4)
(7)硬化後、ダキワとガラス板を外し、充分に乾燥させる。
家庭では、ふとん乾燥機を利用すると便利です。
透明ガラスを透して楕円の形が見えます
(写真1)
透明ガラスを透して楕円の形が見えます |
楕円に沿ってダキワの形を整えます
(写真2)
楕円に沿ってダキワの形を整えます
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攪拌直後の石膏を流し込みます
(写真3)
攪拌直後の石膏を流し込みます |
70分後にダキワを外し、乾燥します
(写真4)
70分後にダキワを外し、乾燥します |
● 中村和彦(第二部・彫刻)
・1951年 福岡県生
・東京藝術大学彫刻科・大学院を経て、造幣局工芸官
現職にて貨幣・メダルなどの原型制作に携わりながら制作活動を行っている
・埼玉県美術家協会 彫刻部 委嘱
・白岡市美術家協会 会員
・個人のホームページは<こちら>から
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