油土を使って肖像レリーフを造る工程を、構想から完成までの制作進行に合わせ、紹介します。
レリーフを造ってみたい方へのヒントになればと思い、制作の進行具合をアップするだけでなく、“裏ワザ”を含めた技法や、材料・道具の解説も一緒にメモします。
2010年7月11日
「肖像部分の制作(4)」 スポットライトを使い、いろんな方向から照らして形のおかしい部分を直していきます。
全光でつくっていると細かい起伏が判別しにくく、スポットライトで確かめると思わぬ形の狂いが見つかります。
確認の意味でスポットライトを使い、蛍光灯の光(全光)の状態で少しずつ細部へと進んでいきます。
ここで大事なことは、細部の形をつくるにも全体的が形を意識して進めて行くことです。
例えば目をつくるにしても、片目だけを仕上げる気持ちでなく、左右の目をバランスよく作っていきます。
顔の目鼻、着物の衣紋に進んでいく
細かい部分をつくって行くことで、逆に「おおまかな形」の狂いも発見できます。
だからこそ細部をつくるにも全体から少しずつ進めます。
おおまかな形の狂いが見つかったら、名残りを惜しまず壊してつくり直します。
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顔のアップはこんな感じ
右斜め上からスポットライトを当てた写真。
似せるつもりのレリーフですから、龍馬の細かな特徴を捉え作りこんで行きます。
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<使っている道具> 左端の木製のへらは、荒づけ用に樫の木で作ったもの。
本来は緻密な木質がよいのでツゲなどを使います。
※ ツゲで作った細部用のヘラは後日写真で紹介します。
鉛筆より左側にあるのは、用途ごとに自分で細工してつくったもの。右側にあるヘラは市販されているものに手を加えたもので、粘土での初期の段階にこれらの道具を使っています。
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● 中村和彦(第二部・彫刻)
・1951年 福岡県生
・東京藝術大学彫刻科・大学院を経て、造幣局工芸官
現職にて貨幣・メダルなどの原型制作に携わりながら制作活動を行っている
・埼玉県美術家協会 彫刻部 委嘱
・白岡市美術家協会 会員
・個人のホームページは<こちら>から
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