油土を使って肖像レリーフを造る工程を、構想から完成までの制作進行に合わせ、紹介します。
レリーフを造ってみたい方へのヒントになればと思い、制作の進行具合をアップするだけでなく、“裏ワザ”を含めた技法や、材料・道具の解説も一緒にメモします。
2010年8月22日
「肖像部分の制作(6)」
260年ほども続いた徳川幕府を倒し、新しい日本を築いた立役者の一人が坂本龍馬で、
今の時代で言うなら、中近東での宗教対立を解決し、資本主義と共産主義を融合して世界の国を一つにしてしまうほどの功績だったと言えるかもしれません。
また彼の凄いところはバックボーンとなる権力さへ持たない一介の浪人でありながらそれを成し遂げたことで、そんなところが現代人を惹きつける一番の要素となっているようです。
随分長いこと制作を休んでいました。
国の為に奔走した龍馬と違い、日常の雑務に追われた作者は長いこと制作から離れ、ホームページも久しぶりの更新となりました。
二三週間も離れると自分の中で組み立てていたものが壊れてしまい、モチベーションも下がってしまいます。
絵画や彫刻の制作は時間の掛かるものであり、スタート時に胸の中で膨らませていたものを維持するのは最も大事なことで、また非常に難しいことです。
もとの軌道に乗せるために数日かかることもあります。
次回は、なんとか石膏取りをアップ出来ればと思っています。
~肉付け開始からここまで約15時間ほど~
粘土の状態では最終段階に入りました。
四辺をデッサンどおりに整えます。
粘土の段階が終わると次に石膏取りを行い、凹型(めがた)、凸型(おがた)で細部の修正を繰り返します。
その為、土台の縁などは直角より幾分傾斜を持たせ「抜け勾配」をつけます。
背景となる部分も人物像にマッチするよう表面を整えます。
|
顔はこんな感じ、実際の龍馬はもっと髪が薄いようです。
石膏取りの前に、現存する龍馬の他の写真をもう一度見ることにします。
|
腹部の辺りはこんな感じ。
帯に差している短刀と、右ひじを乗せている台が残っていますが、これくらいの形は石膏の凹型で彫り込むことも出来ます。
|
● 中村和彦(第二部・彫刻)
・1951年 福岡県生
・東京藝術大学彫刻科・大学院を経て、造幣局工芸官
現職にて貨幣・メダルなどの原型制作に携わりながら制作活動を行っている
・埼玉県美術家協会 彫刻部 委嘱
・白岡市美術家協会 会員
・個人のホームページは<こちら>から
|